言葉の違いだけではない!ECサイトとネットショップの違い|プロが教える事業フェーズ別の最適解とは。
目次 はじめに なぜ混在する?ECサイトとネットショップの「視点」と「本質」の違い 「ネットショップ」が持つニュアンスと「利用者」の視点 「ECサイト」が持つニュアンスと「運営側」の視点 言葉の選択が事業に影響する!プロ […]
コラム

「ECサイト始めてみたいけど、いきなり何十万円もかけるのは不安…」そんな方へ。
実は今の時代、初期費用0円でもECサイトは始められます。
「BASE」や「STORES」など、初心者でも使いやすい無料サービスの進化により、スマホひとつでネットショップを立ち上げることが可能です。
この記事では、ECサイト制作10年以上の実績を持つキノスラが、
・無料でECサイトを作る3つの方法
・各無料サービスの本音比較(メリット・デメリット)
・無料から本格サイトへ移行タイミング
・よくわからなくなった時の相談先
まで、段階的成長を見据えた”本当に使える情報”をお届けします。
ECサイトを無料で作成する方法は、大きく分けて3つあります。それぞれの特徴を理解して、最適な方法を選びましょう。
最も手軽で初心者におすすめの方法です。アカウント登録から数時間でECサイトを開設でき、基本的に技術的な知識は不要です。デザインテンプレートを選び、商品を登録するだけで、すぐに販売を始められます。
代表的なサービス:
| サービス名 | 公式サイトへのリンク |
| BASE | https://thebase.com/ |
| STORES | https://stores.fun/ |
| Square | https://squareup.com/jp/ja |
| カラーミーショップ(フリープラン) | https://help.shop-pro.jp/hc/ja |
プログラミング知識がある方向けの方法です。システム自体は無料ですが、サーバー代や開発工数がかかるため、実質的には有料と考えるべきでしょう。カスタマイズの自由度は最も高いですが、セキュリティ対策やアップデート作業も自己責任となります。
代表的なシステム:
| サービス名 | 公式サイトへのリンク |
| EC-CUBE | https://www.ec-cube.net/ |
| Magento Open Source | https://magento-opensource.com/ |
| Drupal Commerce | https://drupalcommerce.org/ |
既存のWordPressサイトにEC機能を追加したい場合に有効な方法です。コンテンツマーケティングとECを統合できるメリットがありますが、決済連携やセキュリティ設定には一定の技術知識が必要です。
代表的なプラグイン:
| サービス名 | サイトへのリンク |
| WooCommerce | https://ja.wordpress.org/plugins/woocommerce/ |
| Welcart | https://ja.wordpress.org/plugins/usc-e-shop/ |
| Easy Digital Downloads | https://ja.wordpress.org/plugins/easy-digital-downloads/ |
| 方法 | 難易度 | 初期費用 | 月額費用 | カスタマイズ性 | おすすめ度 | 代表的なサービスとURL |
| 無料ASP | ★☆☆ | 0円 | 0円 | 中 | ★★★ | BASE: https://thebase.com/ |
| オープンソース | ★★★ | 0円 | サーバー代 | 高 | ★☆☆ | EC-CUBE: https://www.ec-cube.net/ |
| WordPress | ★★☆ | 0円 | サーバー代 | 中〜高 | ★☆☆ | WooCommerce: https://ja.wordpress.org/plugins/woocommerce/ |
この記事では、最も現実的で成果が出やすい①無料ASPカートを中心に解説していきます。

ここからは、初期費用・月額費用が無料で使えるECサイト作成サービスを、実際の使用感も踏まえて徹底比較します。
| 項目 | 内容 |
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | 0円 (スタンダードプラン: 月額980円) |
| 決済手数料 | 3.6% + 40円 + サービス利用料3.0% (スタンダードプランは2.9%) |
| 商品登録数 | 無制限 |
| デザインテンプレート | 80種類以上 (無料・有料) |
| 独自ドメイン | スタンダードプラン以上で利用可能 |
✓ 開設数240万店以上の圧倒的実績と信頼性
国内最大級のネットショップ開設数を誇り、個人事業主から法人まで幅広く利用されています。
✓ 直感的な操作で最短30分で開設可能
専門知識がなくても、画面の指示に従うだけでショップを開設できます。「今日思い立って、今日オープン」も可能です。
✓ Instagram連携など集客機能が充実
Instagram Shopping機能やTikTok連携など、SNS集客に強いのが特徴。特に若年層向け商材と相性が良好です。
✓ App機能で拡張性が高い
80種類以上の拡張機能(App)が用意されており、必要に応じて機能を追加できます。送料詳細設定、予約販売、デジタルコンテンツ販売など、多様なニーズに対応。
✗ 決済手数料が実質6.6%と高め
フリープランでは「決済手数料3.6% + 40円 + サービス利用料3.0%」がかかり、実質6.6%+40円の負担となります。月商50万円なら月額約3.3万円が手数料で消える計算です。
✗ 独自ドメイン利用は有料プラン必須
フリープランでは「〇〇〇.thebase.in」というサブドメインのみ。独自ドメインを使いたい場合はスタンダードプラン(月額980円)への加入が必要です。
✗ SEO対策の自由度が限定的
HTMLの直接編集ができないため、細かなSEO調整には限界があります。Google検索からの集客を主軸にするには工夫が必要です。
✗ デザインカスタマイズに制限あり
テンプレートベースのため、完全オリジナルのデザインは困難。ブランドイメージを細部まで表現したい企業には物足りない可能性があります。
✅️とにかく今日・今すぐ始めたい人
✅️まずは月10〜30万円程度の売上を目指す人
✅️SNS集客をメインにしたい人(特にInstagram、TikTok)
✅️ハンドメイド作品や少量多品種の商材を扱う人
BASEの公式サイトを見る:https://thebase.com/
| 項目 | 内容 |
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | “0円 (スタンダードプラン:月額2,178円)” |
| 決済手数料 | 5.0%(フリープラン) / 3.6%(スタンダードプラン) |
| 商品登録数 | 無制限 |
| デザインテンプレート | 48種類(全て無料、デザイン性高) |
| 独自ドメイン | スタンダードプラン以上で利用可能 |
✓ 決済手数料がBASEより安い
フリープランでも決済手数料5.0%のみ。BASEの実質6.6%と比較すると、売上が伸びるほど差が大きくなります。月商50万円なら月額2.5万円(BASE比で8千円の削減)。
✓ デザインテンプレートの質が高い
全48種類のテンプレートは、どれもプロのデザイナーが手がけた洗練されたデザイン。アパレル・雑貨・コスメなど、ビジュアルが重要な業種に最適です。
✓ 代引き決済に対応
BASEでは利用できない代金引換決済が使えます。高齢者層やクレジットカードを持たない顧客層にもアプローチ可能です。
✓ 予約販売・定期販売機能あり
予約注文や定期購入(サブスクリプション)機能が標準装備。D2Cブランドや頒布会ビジネスにも対応できます。
✗ HTML/CSS編集不可でカスタマイズ性が低い
テンプレートのカスタマイズはGUI操作のみ。コードを直接編集できないため、細かなデザイン調整ができません。
✗ 月売上30万円超えるとスタンダード移行推奨
フリープランの5%手数料は、売上が増えると重い負担に。月商30万円で1.5万円、50万円で2.5万円が手数料として消えます。
✗ App的な拡張機能が少ない
BASEのような豊富な拡張機能(App)がなく、標準機能のみで運用する形になります。特殊な機能が必要な場合は不向きです。
✅️おしゃれなデザインにこだわりたい人
✅️アパレル・雑貨・コスメ系の商材を扱う人
✅️代引き決済が必要な人(特に高単価商材)
✅️手数料を少しでも抑えたい人
STORESの公式サイトを見る:https://stores.fun/
| 項目 | 内容 |
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | “0円 (プロフェッショナルプラン:月額3,375円)” |
| 決済手数料 | 3.6% |
| 商品登録数 | 無制限 |
| デザインテンプレート | 無料・有料テンプレートあり |
| 独自ドメイン | 無料プランでも利用可能 |
✓ 実店舗のPOSレジと完全連携
Squareの最大の強みは、実店舗とECの在庫・顧客情報を一元管理できる点。既にSquare POSを使っている店舗なら、シームレスにEC展開が可能です。
✓ 決済手数料がシンプル
3.6%のみで、BASE・STORESのような複雑な料金体系がありません。売上計算がシンプルで、コスト管理がしやすいのが特徴です。
✓ 独自ドメインが無料プランでも使える
BASE・STORESと異なり、無料プランでも独自ドメインが利用可能。SEO的にも有利です。
✗ デザインテンプレートが少ない(約10種類)
✗ 日本特有の決済方法(代引き等)に非対応
✅️実店舗を持っていて、EC展開したい人
✅️在庫管理を一元化したい人
✅️シンプルな料金体系を好む人
Squareの公式サイトを見る:https://squareup.com/jp/ja
| 項目 | 内容 |
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | 0円 |
| 決済手数料 | 2.75%〜4.5%(決済方法により変動) |
| 商品登録数 | 無制限 |
| デザインテンプレート | 無料・有料テンプレートあり |
| 独自ドメイン | 無料で利用可能 |
✓ 決済手数料が業界最安水準
✓ カスタマイズ性が高い(HTML/CSS編集可能)
✓ 越境EC(海外販売)に強い
✗ 管理画面が複雑で初心者には難しい
✗ 日本語サポートがやや弱い(韓国発のサービス)
✅️ある程度EC経験がある人
✅️手数料を徹底的に抑えたい人
✅️将来的に海外展開も視野に入れている人
Cafe24の公式サイトを見る: https://www.cafe24.co.jp/
| 項目 | 内容 |
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | 0円 |
| 販売手数料 | 10%(メルカリ本体と同じ) |
| 商品登録数 | 無制限 |
| デザインテンプレート | - |
| 独自ドメイン | - |
✓ 月間2,200万人以上のメルカリユーザーにリーチ
最大のメリットは、メルカリアプリ内の膨大なユーザーベースに直接アプローチできること。集客コスト0円で顧客に出会えます。
✓ 設定が超シンプル
メルカリの出品経験があれば、ほぼ同じ感覚で使えます。ECサイト構築の知識は一切不要。
✗ 販売手数料10%は最も高い
✗ 独自ドメインが使えない(メルカリ内のショップ扱い)
✗ ブランディングが困難(メルカリの枠内での運営になるため)
✅️とにかく手軽に始めたい人
✅️集客に自信がない人
✅️メルカリで既に販売実績がある人
メルカリShopsの公式サイトを見る:https://jp.mercari.com/shops
| サービス | 初期費用 | 月額費用 | 決済手数料 | 独自ドメイン(無料) | 初心者向け | おすすめ用途 |
| BASE | 0円 | 0円〜 | 6.6%+40円 | × | ◎ | SNS集客×多品種 |
| STORES | 0円 | 0円〜 | 5.0% | × | ◎ | デザイン重視 |
| Square | 0円 | 0円〜 | 3.6% | ○ | ○ | 実店舗連携 |
| Cafe24 | 0円 | 0円 | 2.75%〜 | ○ | △ | 本格派・越境EC |
| メルカリShops (モール型) | 0円 | 0円 | 10% | × | ◎ | 超手軽スタート |
もし迷ったら、BASE or STORESから始めるのが無難です。
どちらも初心者に優しく、十分な機能を備えています。

ここからは、BASE・STORESを例に、実際にECサイトを開設する手順を解説します。
初めての方でも、この流れに沿えば迷わず開設できます。
まずはBASEまたはSTORESの公式サイトにアクセスし、アカウント登録を行います。
必要な情報:
・メールアドレス
・パスワード
・ショップURL(後で変更不可なので慎重に)
登録自体は5分程度で完了します。メールアドレス認証を済ませれば、すぐに管理画面にアクセスできます。
次に、ショップの基本情報を入力していきます。
| 設定項目 | ポイント/内容 |
| ショップ名 | 覚えやすく、商材が連想できる名前が理想 |
| ショップ説明文 | 検索結果にも表示されるため、キーワードを意識 |
| 運営者情報 | 特定商取引法に基づく表記(住所、電話番号等) |
| プライバシーポリシー | テンプレートが用意されているので活用 |
| 返品・交換ポリシー | トラブル防止のため明確に記載 |
💡ポイント
運営者情報は法律で表示が義務付けられています。
自宅住所を公開したくない場合は、バーチャルオフィスの活用も検討しましょう。
ショップの”顔”となるデザインを選びます。
【選び方のコツ】
✅️商材のイメージに合うか:
アパレルならスタイリッシュ、食品なら温かみのあるデザイン
✅️商品写真が映えるか:
写真の配置やサイズ感を確認
✅️スマホでの見え方:
購入の70%以上はスマホから!
テンプレートを選んだら、ロゴ・カラー・フォントをカスタマイズできます。
この段階では完璧を目指さず、まずは「及第点」を目指しましょう。
後からいくらでも変更できます。
いよいよ商品を登録していきます。
| 登録項目 | 内容/ポイント |
| 商品名 | 検索を意識したキーワード含有 |
| 商品写真 | 最低3枚、できれば5〜7枚 |
| 価格 | 税込表示が基本 |
| 在庫数 | 正確に管理 |
| 商品説明文 | サイズ、素材、使い方、注意事項を詳しく |
| カテゴリー・タグ | 検索されやすくするため重要 |
📸商品写真のコツ:
・明るく、ピントが合った写真
・複数角度から撮影
・サイズ感がわかるよう比較対象を入れる
・実際の使用シーンも1枚は入れる
重要:
商品写真の質が売上を大きく左右します。
スマホ撮影でも構いませんが、照明と背景には気を配りましょう。
顧客がスムーズに購入できるよう、決済と配送を設定します。
決済方法の選択:
・クレジットカード(必須)
・コンビニ決済
・銀行振込
・キャリア決済
・代金引換(STORESのみ)
配送設定:
・配送業者の選定(ヤマト、佐川、日本郵便等)
・送料の設定(全国一律 or 地域別)
・配送日数の目安
・送料無料ラインの設定(例:5,000円以上購入で送料無料)
💡送料設定のポイント
「送料無料」は購入率を大きく上げる要素です。商品価格に送料を含めて「送料無料」とする戦略も有効です。
ECサイトには、法律的に必須となる表記事項があります。お客様が安心してお買い物できるよう、また、ご自身も安心して法を遵守した運用ができるようにしましょう。
必須ページ:
・特定商取引法に基づく表記
・プライバシーポリシー
・利用規約
・返品・交換ポリシー
BASE・STORESともテンプレートが用意されているので、それをベースに自社の状況に合わせて調整しましょう。
💡食品・酒類を販売する場合の注意点
🍽️食品を販売する場合:
食品衛生法上「食品衛生責任者」の資格と「食品衛生法に基づく営業許可」が必要です。
🍷酒類を販売する場合:
「一般酒類小売業販売免許」か「通信販売酒類小売業免許」のどちらかが必要です。
また、「酒類販売管理者標識」情報もサイト内に掲載しましょう。
公開前に、必ず自分で購入テストを行います。
確認項目:
・商品選択から決済完了までの流れ
・注文確認メールが届くか
・決済が正常に処理されるか
・スマホでの表示・操作感
・購入完了後の管理画面での注文確認
問題がなければ、いよいよ公開です!
ランニングコストが少ないとはいえ、しっかり売上を作っていくためには、手抜き厳禁です。
特に商品写真・説明文のクオリティは売上に直結します。
「商品の魅力が伝わる写真の撮り方がわからない」
「商品説明文の書き方に自信がない」
「そもそも何から始めればいいかわからない」
こんな不安がある場合は、最初だけプロに相談するのも賢い選択です。
キノスラでは、ECサイト開設の初期サポートも行っています!
お困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。

無料でECサイトを始められるのは魅力的ですが、メリットだけでなく、デメリットも正しく理解した上で判断することが重要です。
EC制作10年以上の経験から、本音でお伝えします。
従来のECサイト構築には数十万〜数百万円の初期費用が必要でした。
しかし無料サービスなら、初期費用0円でスタートできます。
「売れるかわからない商品」をテスト販売したり、副業として小さく始めたりする場合、初期投資リスクがないのは大きな安心材料です。
HTMLやCSSの知識がなくても、画面の指示に従うだけでプロ並みのECサイトが作れます。「思い立ったその日に開業」も可能です。
従来は制作会社に依頼して数ヶ月待つ必要がありましたが、今はそのハードルが完全になくなりました。
月商10〜30万円程度の規模なら、決済手数料以外のコストはほぼ発生しません。サーバー代、保守費用、セキュリティ対策費など、本格的なサイトでは必要なコストが一切不要です。
「EC事業がうまくいかなかった」場合でも、金銭的ダメージはほぼゼロ。気軽に始められて、気軽に撤退できる。これも無料サービスの大きなメリットです。
【短期的デメリット】
テンプレートベースのため、「ここだけ変更したい」という細かな要望に応えられないことがあります。
特に、ブランドイメージを細部まで表現したい企業にとっては、この制約が大きなストレスになります。
BASEやSTORESの無料プランでは、「yourshop.thebase.in」のようなサブドメインしか使えません。
独自ドメイン(例:www.yourshop.com)を使うには有料プランへのアップグレードが必要。SEO的にも、ブランディング的にも、独自ドメインがないのは不利です。
楽天市場やAmazonのようなモール型ECと異なり、BASE・STORESは「場所を貸してくれるだけ」。集客は完全に自力で行う必要があります。
SNS、広告、SEO…どれかの集客チャネルを確立しないと、「作ったけど誰も来ない」状態になります。
【見落としがち!中長期的デメリット】
これが最も見落とされがちな問題です。
具体例で見てみましょう。
| 月商 | 手数料(6.6%) | 年間手数料 |
| 10万円 | “6,600円 “ | 約8万円 |
| 30万円 | “19,800円 “ | 約24万円 |
| 50万円 | “33,000円 “ | 約40万円 |
| 100万円 | “66,000円 “ | 約80万円 |
月商50万円で年間40万円、月商100万円なら年間80万円が手数料で消えます。
一方、本格的なECサイト+決済代行会社の組み合わせなら、決済手数料は2.5〜3.5%程度。月商100万円でも年間30〜42万円です。
つまり、売上が伸びるほど、無料サービスの方が高コストになるのです。
顧客データの活用に制約があるのも大きな問題です。
– 顧客の詳細な購買履歴分析が困難
– CRM(顧客関係管理)ツールとの連携に制限
– メールマーケティングの自由度が低い
– 他サービスへのデータ移行が困難
EC事業において、顧客データは最も重要な資産。このデータを十分に活用できないのは、成長の大きな足かせになります。
本格的なEC運営では、以下のような施策が重要になります:
– A/Bテスト(複数パターンの効果検証)
– カゴ落ちメール(購入直前で離脱した顧客へのリマインド)
– 会員ランク制度(ゴールド会員は10%OFF等)
– クロスセル・アップセル施策
– RFM分析に基づくセグメント配信
しかし、無料サービスではこれらの高度な施策がほとんど実現できません。
無料サービスは、まずはスモールスタートで始めたい方の”EC入門”としては最適解です。
ただし、月商50万円を超えたあたりから、手数料負担と機能制約が重くのしかかってくるのが事実です。
適切なタイミングで、無料サービスから売上に見合った有料サービスに切り替えないと、
“売上は伸びているのに、手元に残る利益が増えない”
“やりたいマーケティング施策が実現できない”
という状況に陥ります。
大切なのは、成長段階に応じた無料サービスからの”卒業タイミング”を見極めること。
そのタイミングを逃すと、機会損失が膨らんでいきます。

「そろそろ無料サービスを卒業すべきかも?」
そう感じたら、以下のチェックリストで診断してみてください。
当てはまる✅️の数をカウントしてみましょう。
月商50万円は、無料サービス卒業を検討すべき重要なラインです。
理由:
・BASE手数料(6.6%)なら月額3.3万円、年間約40万円
・本格サイト+決済代行(3.0%)なら月額1.5万円、年間18万円
・差額年間22万円を、サイト改善や広告に投資できる
単発ではなく「安定的に」50万円を超えているなら、移行を検討すべきタイミングです。
粗利率30%の商品を販売している場合、決済手数料6.6%は実質的に粗利の22%を占めます。
計算例:
| 項目 | 金額/内訳 |
| 売上 | 50万円 |
| 原価 | 35万円 |
| 粗利 (粗利率30%) | 15万円 |
| 手数料 | 3.3万円 |
| 手残り | 11.7万円 (粗利の22%が手数料に相当) |
この表は、月商50万円、粗利率30%の商品を販売し、決済手数料が6.6%かかる場合のシミュレーションです。
これに広告費や人件費が加わると、「売れば売るほど苦しい」状態になりかねません。
以下のような施策を実現したくなったら、無料サービスの限界です。
| 施策名 | 内容/具体例 |
| 会員ランク制度 | ゴールド会員は常時10%OFFなど、顧客ロイヤリティ向上 |
| ポイント戦略 | 購入金額の5%ポイント還元など、再購入を促進 |
| カゴ落ちメール | 購入直前で離脱した人への自動リマインド |
| ステップメール | 購入後7日目、14日目に自動配信など、フォローアップ施策 |
| クロスセル施策 | 「この商品を買った人はこんな商品も」といった合わせ買い提案 |
| 定期購入の柔軟な設定 | スキップ、周期変更など、顧客の利便性を高める機能 |
これらはリピート率・LTVを高める重要施策ですが、無料サービスでは実現困難です。
・ブランドイメージが表現できない
→ テンプレートでは「自分たちらしさ」が出せず、競合との差別化が困難
・スマホ最適化に不満
→ 細かな導線設計ができず、購入率が伸び悩む
・商品ページのカスタマイズができない
・商品特性に応じた見せ方ができない
「もっとこうしたいのに」という不満が増えてきたら、移行を検討すべきサインです。
– 自社サイト(BASE/STORES)
– 楽天市場
– Yahoo!ショッピング
– Amazon
このように複数チャネルで販売を始めると、「一元管理」の必要性が急速に高まります。
課題:
・在庫連携ができず、売り越しリスク
・顧客データがバラバラで、統合分析ができない
・受注処理が各チャネルごとで、業務負担大
本格的なECサイトなら、在庫連携システムやOMS(受注管理システム)との連携が可能です。
3つ以上当てはまる → 本格サイト移行の検討時期です。
5つ当てはまる → 移行を強く推奨します。
| 指標 | 移行検討ライン | 移行推奨ライン |
| 月商 | 50万円 | 100万円 |
| 取扱商品数 | 30〜50点 | 100点以上 |
| 運営期間 | 6ヶ月 | 1年以上 |
| リピート率 | 20% | 30%以上 |
| 月間セッション数 | “5,000” | “10,000以上 “ |

無料サービスから成長した後、次のステップとして考えられる選択肢は主に3つです。それぞれの特徴を理解して、自社に最適な選択をしましょう。
代表的なサービス:
| サービス名 | 月額費用 |
| Shopify | 月額33ドル〜 |
| カラーミーショップ 有料プラン | “月額4,950円〜 “ |
| MakeShop | “月額12,100円〜 “ |
| futureshop | “月額22,000円〜 “ |
| 項目 | 費用/レンジ |
| 初期費用 | 0〜10万円 |
| 月額費用 | “3,000円〜3万円 “ |
| 決済手数料 | 3.0〜3.6% |
✓ 移行コストが比較的低い
初期費用が抑えられるため、中小規模でも導入しやすい
✓ 機能拡張が柔軟
アプリ連携で必要な機能を後から追加できる
✓ 保守運用が楽
サーバー管理やセキュリティ対策はサービス側が対応
✗ カスタマイズには限界がある
根本的なシステム変更は不可
✗ 月額費用が継続的に発生
売上がなくても固定費が発生
✅️月商50〜200万円の規模
✅️まずは固定費を抑えたい
✅️技術者を社内に抱えていない
代表的なサービス:
・ecbeing
・EC-ORANGE
・SI Web Shopping
・ebisumart
| 項目 | 費用/レンジ |
| 初期費用 | 100〜500万円 |
| 月額保守費用 | 5〜20万円 |
| 決済手数料 | 2.5〜3.5% |
✓ 本格的な機能が標準装備
大規模ECに必要な機能が最初から揃っている
✓ カスタマイズの自由度が高い
自社の業務フローに合わせた調整が可能
✓ 大量トラフィックに対応
月間数百万PVでも安定稼働
✗ 初期コストが高い
最低でも数百万円の投資が必要
✗ 開発期間が長い
稼働まで3〜6ヶ月かかる
✗ 保守費用が継続的に発生
月額5〜20万円の固定費
✅️月商500万円以上
✅️独自の業務フローがある
✅️中長期的な成長を見据えている
無料でECサイトを作ることは、もはや当たり前の選択肢です。BASE・STORESを使えば、今日からでも始められます。
ただし、「無料で始めること」=「無料のまま成長すること」ではないことを忘れないでください。
◆ 月商30万円まで → 無料サービスで十分
・初期投資リスクを最小化
・試行錯誤しながら学ぶ段階
◆ 月商50万円超え → 移行を検討すべきタイミング
・手数料負担が重くなり始める
・やりたい施策が実現できなくなる
◆ 月商100万円超え → 本格サイトへの移行推奨
・手数料差額で年間数十万円の差
・データ資産の活用が成長の鍵に
成長するほど、手数料と機能制約が足かせになります。
私たちCynosura(キノスラ)は、 EC特化10年以上の実績 を持つ制作会社です。
業界特有の要件を熟知しているため、「あるある」の落とし穴を回避できます。
キノスラは、化粧品・健康食品、食品・スイーツ、美容器具、インテリア・ファッションなど、幅広い業界のECサイトを手掛けています。
ECサイト制作・運用に必要なこと全般、社内で対応できるため、窓口が一本化され、スピーディーな対応が可能です。
| 項目 | 内容 |
| コンサルティング | 戦略設計、要件定義 |
| 制作 | デザイン、システム構築 |
| 運用代行 | 楽天・Yahoo等の運用代行も可能 |
| マーケティング | 広告運用、SEO対策 |
予算にあわせて「今必要な機能から始めて、段階的に拡張する」設計も得意です。
「無料サービスの次のステップ、どうしたらいい?」
そんな疑問をお持ちの方は、まず 無料相談 を。
もちろん、無理に移行を勧めることはしません。
貴社の現状・目標をヒアリングし、
・今すぐ移行すべきか
・あと半年様子を見るべきか
・どの選択肢が最適か
を、売上データを見ながら一緒に判断します。
お問い合わせ
ECサイト制作・コンサルティングに関する
お見積り、
サービスに関するご相談など、
お気軽にお問い合わせください。
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